浸透探傷試験(PT)は、表面に開口したきずに浸透液を毛細管現象で入り込ませ、現像剤で吸い出して指示として見る検査法です。レベル2では、この一連の工程を手順書どおりに実施し、出てきた指示が本物のきずか疑似指示かを見極め、規格の基準に照らして合否を判定し、記録するところまでが問われます。手順書そのものを作成したり総合判定の責任を負ったりするのはレベル3の役割で、レベル2は「正しく探傷し、正しく評価し、正しく記録する」実務者だと考えると、出題の狙いが見えてきます。
つまり試験は、原理の暗記だけでなく「なぜこの工程が必要か」「この条件を外すと何が起きるか」という因果の理解を測ります。選択肢の作り方も、正しい知識を別の手法の用語とすり替えたり、条件を正反対にしたりするパターンが中心です。丸暗記より、工程の意味をつなげて覚えるほうが確実に伸びます。
監修済みの過去問データを論点別に整理すると、おおむね次の7群に集約できます。出題数が多い順ではなく、理解の積み上げ順に並べました。
PTのエンジンは毛細管現象です。細い隙間ほど液体を自然に吸い込む性質で、表面に開いたきずの口から浸透液が勝手に奥へ入っていきます。圧力で押し込むのでも重力で流し込むのでもなく、浸透液のぬれ性(接触角の小ささ)と表面張力が組み合わさって染み込む点が重要で、だからこそ上向きのきずにも液は入ります。検出できるのは「表面に開口したきず」だけで、内部の空洞や表面下のきずは入口がないため、どんなに高感度な蛍光法でも見えません。一方、磁気も導電性も使わないので、非磁性のステンレス・アルミ・ガラス・セラミックスなど、多孔質でなければ材質を問わず適用できる懐の広さがあります。
前処理→浸透→除去→現像→観察→後処理が基本の流れで、各工程が次の前提になっています。前処理で入口を開け、浸透液を入れ、表面の余剰分だけ拭き、現像剤で吸い出して拡大し、目で評価する。順序を入れ替える設問、特に「除去」と「現像」の前後を逆にするひっかけが定番です。「拭いてから白い粉」と語呂で固定しておくと迷いません。PTの失敗の多くは前処理の不備に起因するとされ、油・水分・スケールで入口が塞がっていると以降の工程をいくら丁寧にやっても指示は出ない、という因果も押さえておきましょう。
余剰浸透液をどう取り除くかで、水洗性・溶剤除去性・後乳化性の3方式に分かれます。水洗性は浸透液自体に乳化剤が含まれ水洗で落ちる方式、溶剤除去性は溶剤を含ませた布で拭き取る方式、後乳化性は浸透後に乳化剤を別途塗布してから水洗する方式です。溶剤除去性で注意したいのは、試験面に溶剤を直接スプレーして洗い流すのは誤りで、必ず布に含ませて拭き取ること。直接かけるときず内の液まで流れて指示が消えます。後乳化性は乳化工程が1つ増えるぶん過洗浄を抑えやすく高感度管理に向く、という位置づけで覚えます。
現像剤は乾式・水溶性・水懸濁性・速乾式に大別されます。乾いた粉の乾式は主に蛍光法と好相性、水溶性は水に溶けていて沈降の心配がなく、水懸濁性は粉が水に分散しているので撹拌と濃度管理が要ります。現場のエアゾール缶でおなじみの速乾式は溶剤系で、吹き付け後すぐ乾いて白い膜を作り、染色法でよく使われます。いずれも「薄く均一に」が鉄則で、膜厚は感度の敵です。厚く塗るほど吸い出しが強くなるわけではなく、むしろ小さな指示が膜に埋もれて見えなくなります。
観察条件は正反対と覚えるのが近道です。染色法は赤い指示を白色光の下で見るので明るいほど良く、蛍光法は黄緑に光る指示を暗所でUV-A(約365nm)のブラックライトを当てて見ます。蛍光法では十分な紫外線照度に加え、観察者が目を暗さに慣らす暗順応も必要で、設備だけでなく人間側の準備まで問われるのが特徴です。感度は一般に蛍光法のほうが微小きずに強く、その代償として暗室やUVランプの設備が要ります。なお、染色の赤が残った面に蛍光を使うと発光が消光して感度が落ちるため、同一面での蛍光・染色の混用は禁止です。
指示を見つけたら、まず真の不連続か疑似指示かを判断します。形による分類は、長さが幅の約3倍以上なら線状指示、3倍未満なら円形状指示、小さな指示が狭い範囲に多数あれば分散指示。この「3倍」という境界の数字が頻繁に問われます。線状指示は割れ系の可能性が高く要注意で、円形状指示はブローホールなど点状欠陥に由来することが多いといった「形と素性の対応」も理解しておくと評価がぶれません。合否は経験則ではなく規格の許容基準に照らして決めるのが原則で、UTやRTと同じく「規格がものさし」という軸は科目共通です。
溶剤系は引火と換気、廃液は産業廃棄物として法令順守と、安全衛生・環境も出題範囲です。記録は写真・転写テープ・スケッチで行い、磁束密度の測定はMTの用語なので混ぜ込みのダミーになります。守備範囲のマップは、表面開口きずがPT(材質不問)とMT(強磁性体のみ・表面直下も可)、内部きずがUT(面状に強い)とRT(体積に強い)。非磁性材の表面きずならPTの出番、というように材質から手法を選ぶ判断問題は筆記でも実技でも頻出です。
過去問の誤答パターンには明確な型があります。以下を「見た瞬間に疑う」リストとして頭に入れておくと、消去法が一気に楽になります。
PTレベル2は範囲こそ広いものの、論点は上記7群に収束します。やみくもに暗記するより、原理から条件・失敗例へと因果でつなぐと定着が早くなります。おすすめの進め方は次のとおりです。
制度面の具体的な数値、たとえば受験資格に必要な訓練時間や合格基準、出題数といった事項は改定されることがあるため、最新情報は一般社団法人 日本非破壊検査協会など公式の案内で必ず確認してください。本ガイドは技術論点の整理に主眼を置いています。
PTレベル2は、「表面に開口したきずを、毛細管現象で見えるようにする」という一本の原理を軸に、工程・材料・観察条件・評価が枝分かれしている試験です。各工程の目的と、条件を外したときの失敗を因果でつかんでおけば、観察条件の取り違えや除去の両極端、他手法の用語混入といった定番のひっかけは確実に見破れます。原理理解を図で固め、対比表で整理し、あとは過去問を反復する。この順番で進めれば、得点は着実に伸びていきます。
まず前処理→浸透→除去→現像→観察という基本手順を図に描き、各工程の目的を一言で言えるようにするのがおすすめです。工程の意味が分かると、除去不足や過乾燥といった失敗系のひっかけにそのまま対応できます。原理を押さえてから過去問の反復に移ると定着が早くなります。
観察条件の取り違えが最頻出です。染色法は白色光の明所で赤い指示を、蛍光法は暗所でUV-A(約365nm)を当てて黄緑の指示を見ます。この組み合わせを正反対にする選択肢が定番です。あわせて、除去不足と過洗浄の両極端、線状指示と円形状指示を分ける『約3倍』の境界、磁束密度などMT・UTの用語を混ぜ込むダミーも狙われやすい点です。
受験資格に必要な訓練時間や合格基準などの制度面は改定されることがあるため、断定的な数値は本ガイドでは扱っていません。最新かつ正確な情報は、一般社団法人 日本非破壊検査協会など公式の案内で必ず確認してください。学習では技術論点の理解に集中するのが効率的です。