超音波探傷試験(UT)レベル2で繰り返し出てくる式・数値・使い分けを1枚にまとめました。印刷すると余計なリンクやボタンは消え、表だけがA4に並びます。試験直前の見直しや、現場のノートに挟んでおく用途を想定しています。
UTで実際に手を動かす式は、顔ぶれがほぼ決まっています。単位と「何を求める式か」をセットで覚えると忘れにくくなります。
| 波長 | λ=c÷f(波長=音速÷周波数)。波長は1サイクルで進む「距離」で、1サイクルの時間は周期T。音速が一定なら周波数と波長は反比例する。詳解 |
|---|---|
| 検出できるきずの下限 | およそ 波長の1/2(回折限界)。波長が長いほど小さいきずを見落とす。詳解 |
| 近距離音場限界距離 | x₀=D²÷(4λ)(D=振動子直径)。振動子径の2乗に比例し、波長に反比例するので、大径・高周波ほど長くなる。攻略ガイドでは N≒D²÷4λ と表記。詳解 |
| 指向角 | θ₀≒70×λ/D=70×c/(f・D)〔度〕。ビームの拡がりの半角で、小さいほど鋭い。直径が大きく波長が短いほど小さくなる。詳解 |
| 音響インピーダンス | Z=ρC(密度×音速)。逆数でも割り算でもなく、音速を2乗もしない。詳解 |
| 音圧反射率 | r=(Z₂−Z₁)÷(Z₁+Z₂)。両側のZの差が大きいほどよく反射する。詳解 |
| スネルの法則 | sinθ₁/c₁=sinθ₂/c₂。斜め入射で波が折れ曲がる角度を決める式で、臨界角・屈折角の土台。攻略ガイド |
| きずまでの距離 | 距離=音速×往復時間÷2。往復した時間なので2で割る。攻略ガイド |
| dB換算(振幅比) | エコー高さの比は 20log。2倍=+6dB/10倍=+20dB/半分=−6dB。「2倍=3dB」は電力比(10log)の話で、UTのエコー評価には使わない。攻略ガイド |
計算の途中で使う代表値です。周波数を変えたときに波長や近距離音場がどう動くかを、数字の対で覚えておくと選択肢を切りやすくなります。
| 鋼中の音速 | 縦波 約5900 m/s/横波 約3230 m/s。鋼中では横波の音速は縦波のおよそ半分で、同じ周波数なら横波の方が波長は短い。攻略ガイド・詳解 |
|---|---|
| 波長の目安(鋼中縦波) | 2MHz → λ≒3.0 mm/5MHz → λ≒1.2 mm(c≒5900 m/s)。詳解・詳解 |
| 近距離音場限界距離の目安 | 鋼中の縦波で、5MHz・φ20mm → 約85 mm/2MHz・φ20mm → 約34 mm。詳解 |
| 境界での反射 | 鋼→空気は約100%、鋼→水は約94%反射。鋼と溶接金属のようにZがほとんど変わらない組み合わせでは反射しない。詳解 |
| 表面波の伝搬深さ | エネルギは約1波長の深さに集中し、2波長で音圧は約1/10。周波数が高い(波長が短い)ほど浅い位置を伝わる。詳解 |
| 6dBの意味 | −6dB ≒ エコー高さが半分。デシベルはエコー高さの「比」を表す単位。詳解 |
過去問の誤答選択肢は、この対応関係を入れ替えて作られることがほとんどです。ペア単位で頭に入れておくと反射的に切れます。
| 長さ/高さ | 6dB低下法=きずの長さ(指示長さ)/端部エコー法=きずの高さ。指示長さは実寸と完全一致しない「指示」値である点も論点。詳解・詳解 |
|---|---|
| 6dB低下法の手順 | 最大エコー位置を探す → 左右にずらしてエコーが半分になった位置をきずの端とする → 左端と右端の間隔がきずの広がり。ビームより大きいきず向きで、ビームより小さいきずにはDGS線図など別法を併用する。詳解 |
| 基準反射源 | 斜角=横穴(SDH)/垂直=平底穴(FBH)。平底穴はDGS線図の等価きず径の基準にもなる。攻略ガイド |
| 距離補正 | DAC=実測で引く距離振幅特性曲線/DGS=距離・ゲイン・等価きず寸法の関係を表した理論線図。攻略ガイド |
| 距離振幅特性の範囲 | 距離が変わればエコー高さが変わる現象は方式を問わず起こる。「斜角探傷だけの用語」は誤りで、垂直探傷でも底面・平底穴の評価で扱う。詳解 |
| 感度の2段構え | 走査時は見落とし防止で感度を高め(探傷感度)、きず寸法の評価は基準感度に戻す。上げたまま評価すると過大評価になる。攻略ガイド |
| 直線性 | 増幅直線性=縦軸(入力2倍なら表示も2倍)/時間軸直線性=横軸(距離)。Aスコープは横軸=路程・縦軸=エコー高さ。攻略ガイド |
| 探傷図形 | B=断面/C=平面マップ。攻略ガイド |
| 周波数のトレードオフ | 小さいきず=高周波/遠く・厚物=低周波。高周波は波長が短く検出能が高いが減衰が大きい。詳解・攻略ガイド |
装置まわりは「何をそろえるための操作か」を一言で言えるかが分かれ目です。
| 探触子の表示記号 | 並びは周波数・振動子材料・寸法・種類・公称屈折角の順。例:5Z10×10A70=5MHz/Z(振動子材料)/10×10mm/A(斜角)/公称屈折角70°。詳解 |
|---|---|
| くさびの摩耗 | 斜角探触子のくさびは摩耗する消耗部品。摩耗すると入射角が変わり、屈折角も変わる。STB-A1またはSTB-A3で屈折角を定期確認し、ずれが大きければ交換。詳解・攻略ガイド |
| 時間軸(測定範囲)の調整 | 主にSTB-A1で行い、垂直探傷では小型のSTB-N1も使える。A1感度はSTB-A1のR100円弧面のエコーを基準に設定する。攻略ガイド |
| ゼロ点調整 | くさび内の伝搬時間を差し引いて画面の零点を試験体表面に合わせる時間軸の原点合わせ。感度合わせではない。攻略ガイド |
| ダンパ(制動材) | 送信後の残響(リンギング)を抑えてパルスを短くする部品。パルスが短い=距離分解能が良い。ただしダンピングを強めると感度はやや下がる。詳解 |
| 指向性の効き方 | 振動子径が大きいほど、また周波数が高い(波長が短い)ほど指向角は小さく=鋭い。同一寸法・同一周波数なら音速の遅い横波の方が鋭い。詳解 |
| 接触媒質 | 探触子と試験体の間の空気を追い出すために不可欠。空気層があると超音波はほとんど入らない(Zの差が大きく、鋼/空気はほぼ全反射)。攻略ガイド |
| 減衰の内訳 | 内部摩擦で熱に変わる吸収減衰と、結晶粒界で散らされる散乱減衰。攻略ガイド |
|---|---|
| 結晶粒と減衰 | 結晶粒が大きいほど散乱減衰は大きい。周波数が高い(波長が短い)ほど散乱減衰も大きい。鋳鋼・ステンレス溶接部は粗粒で探傷しにくく、低めの周波数を選ぶ。詳解 |
| 林状エコー | 結晶粒で散乱反射した超音波が探傷面へ戻りノイズになったもの。対策は①周波数を下げて波長を長くする ②波数の少ない広帯域探触子を使う。詳解 |
| 臨界角 | 縦波が斜めに入射すると屈折縦波と屈折横波が同時に発生。屈折縦波の屈折角が90°になる入射角が第一臨界角で、これを超えると横波だけが伝わる。第二臨界角までは横波だけが伝わる。詳解・攻略ガイド |
| スキップ | 底面まで直接届いた点が0.5スキップ、底面で1回反射して上面へ戻った点が1スキップ。板厚と屈折角から探傷範囲を設計する。攻略ガイド |
| きずの向きとエコー | 反射は入射角=反射角。ビームに正対した面状きずはエコーが高く、傾くと見落としやすい。振動子より小さく正対したきずなら、エコー高さはおおむね面積に比例する。垂直探傷が得意なのは板面に平行に寝た面状きず(ラミネーションなど)。攻略ガイド |
| TOFD法 | 送信・受信の2探触子を向かい合わせに置き、きず上下端の回折波の伝搬時間差できず高さを測る。エコー高さでなく時間で測るので、きずの傾き・形状の影響を受けにくい。詳解 |
|---|---|
| 端部エコー法 | 上端・下端からの回折エコーの位置差できずの高さを測る。回折波はエコー高さが非常に低いため、上下端に音圧を集中させる集束探触子を用いる。詳解・攻略ガイド |
| タンデム探傷法 | 探傷面にほぼ垂直な面状きず向けに、同一の斜角探触子2個を同じ向きに前後配置(前が送信・後ろが受信)。探触子間隔はきずの深さで決まるため探傷不能領域が生じる。間隔を保って走査し、自由な首振り走査はしない。向かい合わせに置くのはV透過法。詳解 |
| フェーズドアレイ | 多数の振動子の発信タイミング(遅延)を制御し、ビームを電子的に振る・絞る。機械的に首を振るのではない。攻略ガイド |
| 縦波斜角 | 横波が散乱で使いにくいオーステナイト系ステンレス溶接部などに用いる。難しい理由は粗大・異方性の組織であって、非磁性は理由にならない。攻略ガイド |
| 表面波法 | 探傷面のごく浅い層、表面近くの開口きずを対象とする。詳解 |
| 板波・共振法・透過法 | 板波(ラム波)は薄板や管を板ごと揺らす誘導波。共振法は共振周波数から厚さを逆算。透過法は透過音の減りで検出するが位置・深さは苦手。攻略ガイド |
誤答選択肢は毎回ほぼ同じ型で作られています。原理を思い出す前に、まず型を疑うと速く切れます。
早見表で思い出せなかった項目は、そのまま過去問の解説へ進むのが速いです。1問ずつ図解+3段解説(結論/なぜ/ひっかけ注意)でまとめています。